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味の手帖に「深穏 shinon 2017」が掲載されました。

「味の手帖」2020年12月号にて、ケンゾー エステイトの赤ワイン「深穏 shinon 2017」が掲載されましたので、編集部の許可を得て以下に記事の全文を掲載いたします。
 
 
 

「オーパス・ワン2017」と「ケンゾー エステイト深穏2017」

 
 今日の日本ではカリフォルニアワインと言えば、「オーパス・ワン」と「ケンゾー エステイト」が人気を二分している。共に、ナパ・ヴァレーの有名ワイナリーであるが、歴史はまだ新しい。「オーパス・ワン」の初リリースは1979年、現在のワイナリーが完成したのは1991年のこと。「ケンゾー エステイト」の初リリースは2008年、現ワイナリーは2010年に完成した。
 この秋、両ワイナリーから「オーパス・ワン2017」と「ケンゾー エステイト 深穏 shinon 2017」がそれぞれリリースされた。
 2017年の冬は、1月に過去20年で最大の降水量を記録し、雨は3月まで続いた。ブドウの樹も萌芽も遅れ、開花も遅れることとなる。一転、夏は熱波に見舞われ、極度の乾燥により干ばつとなった。しかし、冬の長雨で地下に水源が蓄えられたことでブドウは順調に生育し、カベルネ・ソーヴィニヨン種の収穫は9月の上旬から始められた。収穫の次期としては「オーパス・ワン2017」は例年よりも早く、「ケンゾー エステイト 深穏 shinon 2017」は例年より遅くなったことがレポートされている。加えて言うならば、この年の10月、ナパ・ヴァレーでは大規模な山火事が発生し、多くの被害をもたらしたヴィンテージであることを忘れてはならない。
 2つのワインを比べてみると、「オーパス・ワン2017」はカベルネ・ソーヴィニヨン80%
のブレンド比率、新樽で17ヶ月熟成である。バラ、森、カシス、ブラックチェリー、ココアの香りがあり、ジューシーで柔らかな酸味、滑らかなタンニンが感じられる、しなやかな味わい。一方、開業10周年を記念してつくられた赤ワイン「ケンゾー エステイト 深穏 shinon 2017」はカベルネ・ソーヴィニヨン90%のブレンド比率で、旧樽で26ヶ月間も熟成させている。カシスリキュール、ココア、ハーブの香りがあり、デリケートでタンニンは滑らかだが、リッチな味わいだ。どちらのワインも品質は双璧ともいえる完成度の高さであった。
 それぞれのブドウ畑を比較すると、「オーパス・ワン」は、4つの区画はいずれもヴァレーフロア(低い扇状地)にあり平坦である。一方、「ケンゾー エステイト」の3区画はいずれもワイルドホース(山間部の傾斜地)寄りにあるためヴァレーフロアよりも海抜が高く、傾斜地も見られる。ブドウ畑が平地か山間かで優越はないが、出来上がるワインは異なる個性を持つことになる。両社ともに優れている点は、ブドウ畑の改良に多大な費用と時間を費やし、畑の手入れに余念がないことである。結果、2017年のような年でさえ素晴らしいワインとなるのだ。名の知れた有名ワインに否定的な意見をするプロも多いが、あえて言わせてもらうなら、なぜ2つのワイナリーが高い人気を得ることができたのかを正しく伝えることを重んじたい。
 

文=渋谷康弘 text by yasuhiro shibuya
ソムリエ/(株)グランクリュ・ワインカンパニー 代表取締役社長
 
ヨーロッパでワインを学んだ後、インターコンチネンタルホテルズのチーフ・ソムリエとしてワインのサービスに携わる。『ベージュ アラン・デュカス 東京』の初代総支配人を務めたのち、『ピエール・ガニェール・ア・東京』など多くの有名レストランの総支配人を歴任。2017年(株)グランクリュ・ワインカンパニーを設立。18年4月完全会員制法人ワインクラブ『ザ・コンコルド・ワインクラブ』を立ち上げ、食とワインの多様性を追求する。近著に『成功する人はなぜ、高いワインを飲むのか?』(朝日新聞出版)。
https://concorde-wine.jp/

『味の手帖』2020年12月号から引用
 
 
 
「深穏2017」はオンラインショップ並び、各直営店にてお求め頂けます。
〇ケンゾー エステイト オンラインショップ
>>https://shop.kenzoestate.jp/
 
〇ケンゾー エステイト 直営店
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